運送業よもやま話その5

小さな王国、小さな国王

 車って良いですよね。最近でこそ私は車の運転は業務上致し方無くしているという面がありますが、免許取り立ての頃はカッコイイ車が好きで、手を加えるのが好きで、運転も好きでした。私の様な一般市民にとって、車ほど自分の意思を尊重させて思いのままに動かせるのは他に無いかもしれません。

 何よりも、一歩車内に足を踏み入れれば完全に外界から遮断されて、完璧なパーソナルスペースと化すのも大きな魅力の一つですね。

 完全なる自分だけの世界、まさに小さな王国でございます。

 

 ですが、あまりにも自分の世界に入りすぎてしまうと思わぬ落とし穴に嵌ってしまう危険がががggg

 今回は、私が以前勤めていた運送会社で実際にあった事案のご紹介をさせていただきます。

 

ケース1 通勤時間帯の煽り運転

  私が所属していた営業所とは別の営業所で、4tトラックのドライバーが通勤ラッシュの時間帯に、一台の乗用車を執拗に煽り続けました。

 で、その乗用車を運転されていたのが、普段お付き合いのある会社の事務員さんだったのです。その方が特にお偉方というわけではなかったのですが、会社に着いてから直ぐに上司に報告を入れたところ、めでたく即日ドライバー出入り禁止&会社全体で取引停止を通告されましたさ。

 今回の件から得るべき教訓は『世間は意外と狭い』ですかね。

 

ケース2 横断歩行者妨害

 ケース1とはまた別の会社で、またしても所属営業所とは別の営業所のドライバーのやらかしですが、とある道を走行中に前方に信号の無い横断歩道がありました。

 その横断歩道を高齢の男性が横断中だったのに気が付いたので、速度を落として「この距離と速度なら停止しなくても渡りきるだろう」とドライバーは考えたらしいのですが、ご高齢の為に歩く速度が思ったよりもゆっくりだったので、結果的にドライバーの思惑通りには行きませんでした。

 で、横断歩道の手前で停止したのは良いものの、そのドライバーが何を思ったのか、クラクションを鳴らして窓を開けて罵声を浴びせたのです。。。

 

 後日談、というか今回のオチ

 その罵声を浴びせられたご隠居さんというのが実は〇会屋と呼ばれる方々の会長さんだったらしく、当該支店長が事務所に呼び出され鬼詰めされたとの事。

 ケース1,2共に、違う営業所にまで周知徹底の注意喚起が回ってくるくらいですから、会社全体としてはかなりの大事になったものと推測されますね。

 

 私も来年で免許取得から30年になりますので、色々と経験をしてきました。今でこそ偉そうに講釈垂れる場合も多いですが、若い頃には今では赤面噴飯もののやらかしもしてました。

 アクセルを踏めば加速をし、ハンドルを切れば曲がる。自分の手足の様に思いのまま動かせる車を運転していると、まるで自分が絶対的な権力者になってしまったかのような錯覚を抱いてしまうことも。。。まさに小さな国王の誕生です。

 特にこの様な思い違いは、車体が大きくなれば大きくなるほど顕著に表れる傾向があります。俗に言うトラックの煽り運転問題ですね。

 私の過去の職場にも「乗用車は邪魔だ」とか「小せぇ車でウロチョロすんな」とか「ぶつけるつもりでハンドル切れば乗用車は逃げて行く」なんて社不適発言をする同僚が実際に居ました。

 モチロン煽り運転をするのはトラックだけではありませんので、乗用車で他者を見下しながら運転されている方も、残念ながら少なくないのでしょう。そこが思わぬ落とし穴であり、地獄の一丁目への入り口だったりするのです。

 先に挙げた事例の通り、世間は思いのほか狭いですし、思いのほか周りからも見られています。最近ですと何かにつけてSNSやら動画サイトに晒上げられたりもしていますよね。更には、令和になった今でも、全国版のニュースで交通トラブルを発端とした刃傷沙汰を目にする機会も少なくありません。

 自分の好きな運転が、仕事の為に仕方なく運転していただけなのに、ただの移動手段だったはずの運転が、自分自身や家族をも巻き込んだ厄災になってしまうのです。

 誤解を恐れずはっきりと申し上げるならば、私を含めて日常的に運転している人達のほとんどは『ただの一般人』ですので、運転中の万能感や高揚感に支配されて大きな行動に出てしまうと、車を降りた瞬間にモブAとして後悔することになってしまうかもしれません。

 ニュースを始めSNS等でも日常的に取り上げられることの多い交通トラブルを『他人事』と捉えるのではなく『他山の石』として活用していただき、悲惨な交通事故や交通トラブルが一件でも少なくなってくれることを願い締めとさせていただきます。

 最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

 防人行政書士事務所では、各種運送会社ドライバー様向けの安全運転講和等も承っております。運送会社の現場職として二十余年勤めあげた経験と専門職としての知識を元に、それぞれの事業者様のニーズに沿った内容のお話をさせていただきます。

 

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